【 盲導犬 】/豊嶋祐匠
少しばかり
窮屈そうな、この白い犬に
みんなが
さよなら、がんばれよと
犬の体を
クシャクシャに抱き寄せながら
最後の
お別れの言葉を贈りました
すると
この
1匹の白い犬は
けして我が家を
振り向くこと無く歩き出しました
この
1匹の白い犬を頼りにする
新しい家族となる
盲人の元へと走り出すのでした
この
1匹の白い犬にとっての
愛の在り方とは
名残り惜しむ
我が家の瞳に
応えることではなく
愛を与え継ぐ
盲人の目となること
それが
これからの
自分の役目であり
何よりも
名残り惜しむ
この我が家から
教えられたことだと、悟ったからなのです。
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