いつか忘れるということ/ベンジャミン
 
ないのだ

なんて無防備で弱いこの体
亀と比べたら天と地ほどの差がある美しく長い手足は
体から飛び出しているだけで
きれいに折りたたんでも背中を隠すことはできない

背中だ・・・

甲羅を背負うこともない背中がなぜこんなにも重たいのか
希望を詰め込むこともない僕は何を背負っているというのか

亀が首をのけぞらせている
甲羅が邪魔して後ろを振り返ることができない
ガラスの壁に両手を突っ張って見つめているのは空だ
天井を突き抜けて視線が射抜いているのはまぎれもなく空なのだ

空・・・

僕も知っている
僕も大きく見上げて両手をのばして仰いだことがある その 空
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