Hの生/這 いずる
春の嵐が子供のままの頭と幸せな迎合をし
酷くうろたえて辺りを巻いている
端から端まで街を歩き通している迷い子
同じ景色を見ているあなたに同情を求める
そういう舐め腐っているような態度が
真理を体現し、真理に愛されている
そのものだと胸裏に打ち明けたのだけど
実際の私はふうん、とだけ返事を返して
手の中のクレープに夢中だった
春の日差しにクリームが溶け出して
思考とまだらに私を飾る
それは聞こえがいいのだろう
服は染みだらけで蟻がたかり
白にまだらな顔は隈を作り
垂れる雫が化粧のすじを描き
そんな人間が佇んで春の様子を受けていた
春がこんなに眩しいから
戻る 編 削 Point(3)