永遠のワルツ/這 いずる
 
しんしんとして降り積もる雪が
身に染み寒さは体に渡り
涼しさと凍えの境目も
分からないほど火照った体で
観客はいない二人だけのワルツを踊る

取り合った手と手
そのまま凍ってしまって
世界中の幸福論者を安心させたけど

美しいだけの思い出は
思い合った眼差しの熱と
必死になって取り合い駆けだした手のぬくもりと
共に逃げ去り
カウチに寝そべってアイスクリームのバケツに
スプーンを突き入れるその繰り返し
かつての美しさが堕落したと
自覚している太った女の影に
ひっそりと息づいている

机の隅のスノードーム
封じ込め保存した標本
舞う粉雪を覆う埃
曇るそのガラスの中

溶けたアイスクリームに群がる蟻
べたつく体に張り付く服
薄暗くカーテンが引かれたまま
手に鈍く光る指輪

踊るワルツのリズム

永遠を誓いあった先の
永遠がその部屋にあった
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