花火/忍野水香
 
束の間の夏を慈しむように
打ち上げ花火は鮮やかに咲き乱れ
七夕の夜を彩る

一つ 花が咲く度に
一つ 想いが散ってゆく

七夕祭りの熱い夜に
やるせない想いを
花火に乗せて飛ばしましょうか

一歩 進んでは後ろを振り返り
失くした想い出を探しながら
一人 溜め息をつく

流れ星よ
どうか私に
希望の灯りを
点してください

満天の星に祈りを込め
願いを託した短冊は
ひらひら夜風に揺れている

遠ざかる祭り囃子が
心にせつなく響く

儚い夢のように
北国の短い夏は
もうすぐ終わろうとしています
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