閉じる かたち/木立 悟
碧く陽の無い朝に引かれる
細い音の線がある
見えない飛沫が
花を揺らす
羽の空が 暗い川を流れる
午後が午後に集まり
吼え声を上げる
窓の滴をすぎる影
雨の街から
雨の街へ去ってゆく人
曇の文字の
裏側の夜
多くの未明の後も未明は残り
轟々とうねりつづけている
従うことも抗うこともなく
何処かをじっと見つめている
火の目がひとつ
海に浮かぶ
誰もが見ようともせずに見
忘れようともせずに忘れる
碧くふちどられた虚ろなかたち
淵の底の底の朝
ひとつが三つの花のように
別れのように揺れつづける
戻る 編 削 Point(3)