あゆみ そまる/木立 悟
 






降る花だと思ったものは
薄く小さな血の皿だった
数えつづけ 数えつづけ
眠っていた


歪んだ光の水たまり
かけらのかけら
あつまりのあつまり
波と光の 指あそび


撃つのではないか
今にも あの曇は
地を撃つのではないか
すべての表情を 爪に集めて


背を向けたもの同士が会話している
風はわずかに灰色になる
小さく小さく降りつもる音の
かたちの端がかがやいてゆく


空の幕にあいた穴
縦につづく楕円のむこうに
のぞきこむものの姿が見え
泡の輪郭にまたたいている


静けさの上を伝わる事ども
夢と現と想の踊り
無意味な生と死の服を着て
降る赤に目覚め 歩き出す
















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