不愉快な手触りの街/ホロウ・シカエルボク
20時の路上で韓国タイヤに轢き潰された灰色ネズミが遺言のようにブルース
ショッピングモールの液晶ヴィジョンに映し出された若い殺人犯の既視感
民家の軒先にぶら下がる崩れかかったカラの蜂の巣は
ビル火災で逃げ場を絶たれた連中が飛び降りようとする姿に似ている
蜥蜴が昆虫を飲み込んで不味そうに顔をしかめる
蝙蝠のせいで街灯の明かりがまるで風にはためくカーテンのように揺れる
いつも前を通過するたびになぜか気になっていた工場の廃屋は
数年前に身元不明の男の首吊り自殺があった場所だと最近知った
わずかなアルコールは下らない話をたくさんカウンターに並べて
バーテンは見聞きするばかりの人生を嘆
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)