墓標/這 いずる
 
蝶の翅が木漏れ日に輝いて酷く
目を楽しませるので
葉にとまり休む一瞬の隙に捕まえた
手の上で誇らしげに鱗粉を散らす

ひとつひとつ虫ピンに飾られ美しく並べられることは
小さな石の墓標も失い
永遠に乾燥した生の約束であり

私は蝶を潰すでしょう
空気へ羽ばたく翅の音が
嬉しげに聞こえるものだから
戻る   Point(3)