「サボテン」 七首/もっぷ
 
想うのは初冬のこども暗くとも帰れずにいる駅のベンチに


秋服のままで真冬を越えた子がうつむき見てる花そして花


星が無いわけではなくて街赤く黄色く白く今日は見えない


初夏(はつなつ)のすこやかな風に洗われる君のブラウス紅いスカート


母の日と父の日の頃の毎毎年わたしの胸でサボテンが泣く


夏の日の扇風機すら望めぬ子ひとり知ってる忘れたくない


ぬくもりを家で欠片も貰えぬ日はかりしれない追想のなか


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