青と手のひら/木立 悟
 





花火になり
花火になり 消える花冠
打ち寄せる
打ち寄せる空の代わりに


どこまでも
どこまでも弦だけが
響きつづけることについて
ゆっくりと落ち 砕ける筒のなかで


愛しさを残して去るものは
壁の無い目と羽を持ち
朝焼けと夕暮れをひとつに馳せる
ひとつにひとつにひとつに馳せる


海を円く幾度もなぞる火
氷河をひたす波は分かれ
架空の楽器を鳴らしゆく
鳴らし鳴らし鳴らしゆく


嘘を笑い
ほんとうを嘆き
横たわり起き上がる度ごとに
時間は浅く 浅くなってゆく


風が風だと思ったものは
無数の砕けた羽だった
ふいに高みの高みまで着き
誰も居ない震えを見下ろした


架空の民の唱と踊りを
砂岩の水に沈めた後の
青く冷ややかなむらさきを
手のひらは手のひらに湿らせてゆく

















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