向かう先は/坂本瞳子
報われることのない想いは
どこへ向ければいいのだろうか
気持ちばかりが募り
なにもできずにいるけれど
ここでこうしていることに
意味はないのだろうか
大人しくして
我慢を重ねて
息を潜めて
そうしていることが平和なのか
そうではないはずだ
打ちのめされてもいいから
穴の中から出てみたけれど
影を相手に拳を奮っても
決して流血することはなく
痛みを感じることもなく
生を確認する術はなく
喜びなど
遥か遠くの向こうにあるのかと
疑わしく思われ
それでもあちら側へと
今もまたもがいてしまう
這いつくばって
のた打ち回って
諦めわるく
意地を張って
平坦な道には棘を埋めながら
行ってやる
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