雁行/もっぷ
ゆくえ ゆくえ
しあわせのゆくえ よろこびのゆくえ
この子のゆくえに佳きみちを
ゆくえ なんてつけないでね あたしのなまえ
ママのおなかのなかでたのんだのおぼえてる
ゆくえはそうつぶやいて泣きそうな顔
かのうせいとかいうもんをたくしたんだって
ゆくえはほんとに泣いている
だから すこし うたった
ゆくえ ゆくえ なみだのゆくえ
ゆくえのなみだは どこゆくか
ゆくえ ゆくえ なみだのゆくえ
…たしのなみだは どこゆ…
思わずおさななじみを抱きしめた
、ふとみあげると雁行が
気づくと ゆくえの目も雁の群れを追っている
* * *
あの日も もう遠くなり雁行の空のいま
ゆくえはもしかしてわたしを想ってくれることあるかな
わたし来世は雁だったよ ゆくえ
ひとりの老婆がオレンジ色の世界で
いつまでも鞦韆(ぶらんこ)に腰掛けている
みあげてるとあぶないよ 悠久詠
六歳の背丈で空を見上げた日「雁行」と知らず雁は飛んでた
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