思考は瓦礫の中で/ホロウ・シカエルボク
 


古いセメントの欠片からはみ出した鉄筋がねじ切られた肉体からぶら下がる大小さまざまな血管を連想させる白昼夢、うだる暑さの中で皮膚をなぞる汗の温度がそんなイマジネイションに奇妙な実感を加味する、街路樹のほんのわずか歩道より隆起した土の表面に小銭のようにばら撒かれた蝉の幼虫の殻、さなかの夏がいつの間にか終わりを迎えていることを耳打ちのように告げている、道の向こうに見える公園のベンチに横たわる死体のような老人、ままならない肉体組織のバグが彼をさらに逃げられないところまで追い込んでいる、古い住宅地に紛れ込むと閉じた商店の群れ、そのうちの二つのシャッターの内側で人死にが出ている、道端で呆けている退屈そ
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