透明紳士/
やまうちあつし
透明な紳士が
君の側にいる
趣味のいいネクタイ
よくみがかれた革靴
透明だから見えないけれど
天使でもなく
守護霊でもない
呪ったりしてない
助けてもくれない
ただ見ているだけ
君のよろこびを
君のかなしみを
君のとまどいを
君のこうかいを
そして時折君の肩に
ぼむ、と手を
置いているだけ
人知れず
そんな時君は
夕焼けや三日月を
ふと、見上げている
戻る
編
削
Point
(1)