レクッカラ/斎藤秀雄
あの彼女の感謝、 あの彼女の謙虚さ、
あの彼の郷土愛、
そうしたものが ひけらかされているとき、
あの人たちには
ともだちがいるんだって思った。
欲望の対象を盗まれて いる感じがして、
惨めな気持ち、 たいせつに
あつかわれていない感じが
さみしさや憎しみを惹起した、と
いうわけじゃないんだ、
と君は思う。 そうではなくて、
欲望の原因が盗まれて
いるのだと。
雨は不規則に跳ねるから、 好きだよ。
曇りは雲の白い部分と 灰色の
部分のまじりあいがいいよ。
快活さは死ねっていうと 死ぬから
そんなに敵じゃない。
悼むことをやめ、ともにあらねばならない。
(喪の挫折リミックス集)
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