ひとつ のぞみ/木立 悟
素手で口で渡しながら
やがて崩れ落ちるものが
自身であると知りながら
凍る川の下を
瀧の卵が流れ
燃え上がる植物図鑑と共に
心の無い詩人も燃えてゆく
それはひとりには すぎた光
呑んでは吐きつづける冷えた炎
それでも呑みつづけ吐きつづけるのなら
そのものは霧と消えるのだろうか
硬くやわらかな朝に坂をころがり
助けを求める腕をもぎ取られ
海に落ち 足で泳ぎ 浮かび上がるものの背に
せめて骨の地図が残っているように
秋のままの中洲のそばを
無数の水の季節は過ぎて
影に脅えていた子らも
影の手を取り歩き出す
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