陽はまた昇る/坂本瞳子
 
うつ伏せになって
顔を枕に埋めて
声が漏れないように
大きく口を開けて
枕に押し当てて
全身を震わせて
止まらない涙を
枕に吸わせてやった

それでも朝が来ると
仰向けになっていて
両目が腫れ上がっていて
涎も垂らしまくっていて
両手と両足を大きく拡げていて
昨晩震えていたのは誰だったのかと
自ら疑問に思うほど
晴れ晴れしい朝が来ていることに
どんなに嫌気を覚えただろうか

鏡に目をやると
肩の長さで跳ねた髪が気になる
水で濡らしても内側に丸みを帯びることのない
このひと束をいっそ切り落とそうかと思うほど
苛立たしさはこの上なく
それでいて腫れ上がった目蓋など
もろともせず
朝食などは端から採る気などなく
こうやってまた平凡な一日が始まる

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