優しい気持ち/坂本瞳子
 
優しくない気持ちは
意地が悪いのではなくて
悪意の塊でもなくて
邪な捻くれたいじけた心でも
寂しい気持ちの裏返しでも
なんでもなくて
ただ素直になれない
その程度のことだったりする

ごめんの一言が言えず
さらに誤解されて
取り繕うこともできず
強がりも加わって
さらに誤解されて
もうそれでいいと諦めてしまう

家族だからって
友だちだからって
分からないことも沢山ある

優しくない気持ちは
どこかに捨ててしまえればいいのに

優しくない気持ちがなくなれば
優しい気持ちだけが残るだろうか

そうではないような気もするけれど
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