かおるのおと 「あてのなさ故」 七首/もっぷ
もう恋はしないと決めた哀しさを一人のものとして綴じる寂しさ
夕星(ゆうずつ)を見ない日続く梅雨のなか届かぬ手紙(ふみ)とそのあてのなさ
ジャズピアノ似合う私でないけれどひとりの部屋でささやかに聴く
梅雨晴れ間すこしも開(あ)かぬ窓みあげ独りをうらまず安息日午後
エアコンの寿命とくらべふと笑うたぶん私のほうが長生き
ゆるがない意思に届かぬ手を嘆く「人間だもの」とメールが届く
きれいごとあつめることを赦されたい詠って 生きたい 私の四季に
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