感情表現、が欠落していく。/木築
「殺そう、と思った瞬間になにかが死んでいる」
ぼうとした目でそう呟き、
手からこぼれたなにかを探り、
不思議そうな顔をしたあなたに、
もう失ったものはみつからないし、
失ったなにかになんて興味もないね。
そうしたものは忘れられ、
まばたきした先から途切れ、
記憶は明日へと向かって進む。
「わたしはあなたの意味のあるものでしょうか」
失うものに意味がない、
そんなことにほんとうは、
消えてしまった価値がある。
「殺そうと、と思った瞬間になにかが死んでいる」
ぼうとした目でそう呟き、
失ったなにかを探さないで、
うつろな目で画面を見て
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