余裕は無い/渡辺八畳@祝儀敷
ゆらり人の流れに乗って
平穏にやり過ごせばいいものを
余裕無い少数の人達
彼らはその場にすくんでしまって
巨大なスクランブル交差点に点々と点在
紅潮した顔面に汗だけは絶えず噴き出ていて
無用の運動 ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる
男も女も老いも若きもいる
カロリーが消費されていく
眼球は小動物のよう泳ぎ狂っている
一体全体の大渋滞に騒音ばかりが増していくが
ただただ物も言えず移動もできず手を振るだけ
手のひらを下向きに手首を軸にして往復するだけ
轢かれない轢かれない 余裕無い人達
目立つ目立つ 道路に立って焦るだけ
轢かれない轢かれない 車は進めない
余裕無い人達が要石のよう
そこに立ち止まっているから
そこから動けないでいるから
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