道へ ふたたび/木立 悟
 





かじり取られたたましいが
元のかたちを静かにたどり
川辺を覆う枯れ草に
うたうように立ち上がる


涙が涙を流し去り
夜のひとつの山道となり
何処に着くのかわからないまま
遠くだけが明るくつづき


ひと足ひと足に重なる声
窓に触れずに窓を鳴らし
そのまたたきを散らす声
見えぬ行方をなぞる声


目に沈む怒り
底にのたうち
夜に積もる夜
かがやきの蛇


川辺を覆う枯れ草を
虚ろな人の熱狂が過ぎ
雨の生きものの足跡が
片目で闇を視る子を過ぎる


匂いに誘われ
様々なかたちが道に溺れる
声と光を手にしたたましい
あたたかな息の夜を歩む



























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