水へ ふたたび/木立 悟
光を梳いた暗がりの川
朝と朝と朝の波音
刃の羽のはじまりと終わり
かけらを悼むかがやきの径
何処へも行けず 此処で眠る
水はさらに遠くなり
暗がりは暗がりのままかがやきを増し
朝へ朝へ遠去かる朝
光が光の笛を吹き
川を少しだけ照らすとき
すべての途切れた夢ははじまり
眠りは明るく無口に灯る
標と風
水の署名
したたりを受け
空を視る森
指の行方
階段を流れ
踊り場の窓からのぞきこむ夜
虹彩に虹彩に降りつもる雪
陽の無い午後と夕べは軋み
乳とむらさきは薄くひろがり
原と原以外を隔てる柵
霧を聴く耳を震わせてゆく
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