天動説の子ども/窪ワタル
壷を開けると
かあさんは頭から ちん と座っていて
頭蓋骨を一枚ずつ剥がして
喉仏をつまんでどけて
その下の小さな小さなかあさんの
かあさんの骨を
食べました
粉っぽくってざらついた骨は
簡単に砕けて
僕のものになりました
でもね かあさん
肺呼吸をわすれたままです
かあさんみたいに走れないので
僕は泳ぐことにします
上手く泳げなくっても
もう誰もお小言を言わないので安心です
それはまったく不自然なことです
僕は魚になります
それはまるで自然なことです
海の底は太陽が射してきても
冷たいので
地動説をわすれられるでしょう
それはまるで自然なことです
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