分かれ道/坂本瞳子
 
海の匂いが充満するあの部屋は
小気味が悪い

だから荷物を全部置いて来た
きっともう二度と戻らない

どこへ行くのかなんて
自分でも分からない
足が向く方へ
気の向く方へ

雨が降れば軒下で一時停止し
風に当たらないよう高い壁を伝って
信号に遮られないように畦道を選んで

君とも二度と出会わないように
行くさ
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