向かう先は/坂本瞳子
 
なにもかもが闇に向かっている
そんな錯覚に陥ろうとも
肩で風を切って
足を大地に踏ん張って
今日もまた
蒼い月を眺め
叫びたい心を抑えつけて
口笛を吹いて誤魔化す
濁った雲がトグロを巻き
遠くで聞こえる鐘の音は
優しくも温かくもなく
ただ響く
きっともうすぐ雨が降る
開かれた花弁を打ちつけて
なにもかもを洗い流す
暗黒へと向かって
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