窓/伊藤 大樹
 

窓のそと
そこに子どもの笑い声がある
そこに柔らかい春の陽射しがある

窓のそと
そこに車の行き交う音がする
そこに名前も知らない鳥の囀りがある

そのたしかなしあわせを
私はいつも感じて生きていたい

そしてまた窓を挟んだ部屋の内側にも
少なからずよろこびは満ちていて

テレビを見て
飯を食べて
排泄し 見知らぬ誰かを愛するだろう
私といういのちがある


2015.2
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