嘔吐 (習作)/もっぷ
消えない影となってつきまとう嘘
夜には全てが影となる
夜には全てが嘘となるのか
あるいは
ひかりがつくる影、以外は
全てが真実であるといえるのか
あるがままをみれば 転ぶ
人の世の白旗屋が札束の勘定に忙しく
あの世では穴のあいたコインたちが嘲笑(わら)っている
人が転ぶたび
騙されるたび
迷い嘆くたびに
泣いて泣いて泣いて紅い靴を脱いだ女性
橋の真ん中にみえるそれは
きっと彼女の最後の言葉の具現
あるいは
私は言葉を捨てますというきつい意志の 成れの果て
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