銀河の鉄道/やまうちあつし
 
見えないものを見ようとし
聞こえない音を聞こうとし
愚かでもあいそうと
恐れおののいて
さよならも言わないで
どこかへ行ってしまうって
そんな、そんな、
こんな、どんな、
あなたのなかに外国を
あなたのなかにふるさとを
わたしは見る気がするのです
わたしは眼鏡をかけません
共に生きることは
共に暮らすことではなくて
共に祈ることだと
誰かが耳打ちしていきました
それならば
どんな楽器を携えていようと
見える景色はおなじだろうか
離れているから
見える夕日があるのだろうか
私も暮れてゆくでしょう
あんなに深い沈黙の只中に
青いピエロのような顔して
潜水艦の心をもって
薄い三日月が
電線の五線譜に引っかかる
噂では
どこまでもゆくのだといいます
そういう種類の切符だといいます
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