ドラマ/初谷むい
。それがものすごくて、泣いてしまうことも、あったね、あたしたちアイスの木の棒ですらなかなか捨てられずに、きみの唾液のしみ込んだそれをすこしなめてみたりしていた。たとえば性交をしたってあたしたちはひとつになんてなれなくて、たくさんのあたしがたくさんのきみときみときみと出会い、そしてそれを映画みたいだ、なんて思っている。ひとりでご飯を食べているときにいちばん生きている感じがするのは、食べるために食べているから。関係ないんだ、そのときには大事にしなくちゃいけないひとのことなんて。さようなら、きみときみの人生。おはよう。おやすみ。あたしたちの日々更新される細胞のこと、絶対悲しまないで。ひとことできみを台無
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