水際のマーメイド/藤鈴呼
何時だって 穴の先は 暗いから
抜けた瞬間に 広がるのは
青い空だと 決めていた
白い 浪の花ばかりが 目下の課題
ふわふわ 浮いて居て くれたなら
カモメか ウミネコか
迷うことは あっても
惑うことなど ないのでしょうに
見分けが つかないのです
ふわふわ と 瞬き続ける羽根が
両腕を 伸ばしても
届く距離には
存在して いないのですから
ここに 物差しが あったとて
地上から 何センチ と 測ってみたところで
きっと 意味は ない
シュッと ユビの腹を 切り裂きそうな
ステンレスのような 切っ先の鋭いタイプ
巻尺と 一つの
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