水際のマーメイド/藤鈴呼
 

何時だって 穴の先は 暗いから
抜けた瞬間に 広がるのは
青い空だと 決めていた

白い 浪の花ばかりが 目下の課題
ふわふわ 浮いて居て くれたなら

カモメか ウミネコか
迷うことは あっても
惑うことなど ないのでしょうに

見分けが つかないのです

ふわふわ と 瞬き続ける羽根が
両腕を 伸ばしても
届く距離には 
存在して いないのですから

ここに 物差しが あったとて
地上から 何センチ と 測ってみたところで
きっと 意味は ない

シュッと ユビの腹を 切り裂きそうな
ステンレスのような 切っ先の鋭いタイプ

巻尺と 一つの
[次のページ]
戻る   Point(0)