誰もいない/末松 努
 
ほんとうか
疑うことは
確かめるための第一歩
だった

しかし
うたのおにいさんは
うたのおねえさんの
秘密を守ろうと
画面からも
現実からも
その姿を
全自動システムで
消去した

  甘いものには
  厳しい目を向け
  厳しいものには
  甘い眼差しを

地下水脈が
着色料に濁りきったころ
小高い丘に立つ
三角屋根のお菓子の家の扉が開かれると
そこは群がる蟻たちで
真っ黒になっていた

ほんとうか
リポーターが
一介の物書きを追いかけはじめる
事実を探ることも捨て
蟻のように群がるマイク
狭き部屋に集い
我々の勝利だと言い残し
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