田舎のサービス/藤鈴呼
鮮やかにサドルを漕いで 通り過ぎて行く
サドルは焦げぬ
尻にかかる重圧が なんぼのもんじゃい
ジュウジュウと焼き色を付ける もんじゃの湯気が
眼鏡を曇らす
元々 ピーカンばかりを連想するから
曇天で暗くなるのだ
最初から「雨が好きだ」と豪語していれば
こんな微妙な気分で新聞を広げる必要なんぞ
なかろうに
少し 屈託のない笑顔の裏で
寂しそうに呟くと
彼は そっと 跨った
そのチェーンが 独りでに 回り始める
タイヤとタイヤの隙間を縫うように 進み出す
ここは校庭
地面の高低差は有りませんが
華麗なジャンプをキメるには
少々テク
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