こだま かたち/
木立 悟
崖を巡る
白い岩の径
ふたつの海の
ひとつは黙っている
水の底には花が見える
崖上からは羽に見える
降り来るものには
まばたきに見える
欠けた色の響きの傘が
岩の白にひらいては揺れ
径の行方に低く重なり
朽ちた標の群れを隠す
水を巡り
光を巡り
同じところに着く径を
いのち以外が行き来している
陽は動かず
曇ばかりが水に落ち
不確かな獣
不確かな龍を描く
名を問う間もなく
花は変わり
聞こえぬ波が
聞こえる波に打ち寄せつづける
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