哀れなAlley Cat/ホロウ・シカエルボク
一匹の雄の野良猫が居た、根性も身なりも薄汚い野良猫であった。他人の捨てたものを漁らなければニャアと鳴くことすら出来ず、鳴いたところで短い、汚い声を上げる程度であった。その内容も、他の猫が聞けば失笑をもらすような、稚拙なものだった。そのくせ彼は尊大な態度で、近くを通りがかるお仲間に向かって偉そうに牙を剥いて見せるのだった。だが不思議なことに、「すぐにでも噛みついてやるぞ」といった顔をしている割には、彼の方から近寄ってくることは一度もない。尊大ではあるが勇敢ではないのだった。そんな有様だというのに彼はどういうわけか、「あいつは凄い猫だ」と周りに認めてもらいたかった。ろくに鳴き方も知らないのに口
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