自照詩人/長崎哲也
遠くの情景に
ひとまず別れを告げて
内なる心象に目を向ければ
喜怒哀楽と
それらに紐ずけられたものどもが
溢れてくる
それらは、別々に現れるのではなく
万華鏡で回し見するみたいに
おのおのが繋がっては、離れを繰り返す
それが、人の感情だとでも
言うように
奥の薄暗いところまで
目を凝らせば
自分でも忘れていたものが
浮かんでは消えて
時々、はっきりとするも
また、消えて
明滅を繰り返している
もっと奥の暗闇には
得体の知れないものどもが
混ざりあっては分離を試みて
いつの日か、表に出ることを祈っている
しかし、それは
叶わない願いかもしれない
それらは、わたしに
溢れたものたちを言葉にしろと
呟く
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