父や、母が死んでも走り続けろ!/初代ドリンク嬢
桜並木の堤防沿いの道
一人の少年が走っていく
後姿にすばらしく
映画のような櫻吹雪
「少年よ!走っていけ!」
見送る私の後ろから
初老の男が叫ぶ
振り向く私に
「言っちゃ悪いが、
たとえ
父や、母が死んでも走り続けろ!」
男はにやりと笑うと
後ろ手に持っていたライフルのような銃を私に向けた
そうか、
そうだったのか
あの少年は
私の息子だったのか!
男は私を撃った
櫻吹雪の中を
振り向きもせずに走る少年の姿は
さわやかだった
戻る 編 削 Point(4)