鉛筆の話(HB)/やまうちあつし
 
私がふて寝した後
鉛筆削りを取り出して
ぞりり、ぞりり、と削っていたのだ
私は今
先の尖った鉛筆で
この詩を書いているのだが
視界が滲んで上手く書けない
このことを黙っておこう
黙って先の尖った鉛筆を使って
精一杯によい字を書こう
いいのが書けたら読んでもらおう
愚かな二流詩人のために
夜な夜なささやかに祈ってくれる
鉛筆削りのその人に

これが私の鉛筆の話
これが私のHBの鉛筆

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