風の化石 2P/10P/翼がはえた猫
を船が走っている
僕は高くも低くもない
山の中腹から海を眺めている
天候明瞭
気温爽快
けれども人気は全くなし
見知らぬ土地の
見知らぬ山で
僕は銀色に煌めて
白浪の腕を差し伸べる海を眺めている
嫌気がさしたのだ
人間関係のごたごた
社会のしきたりだとか
うんざりだ
もっと自由に生きたらいい
いや、生きれたらいい
仕事なんかほっぽりだした
とにかくどこかに逃げたくて
なんでか知らないけれど
海にきた
山を降りよう
海に行こう
あの煌めく銀の腕はきっと
僕を抱き締
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