郷愁・改訂版/
星丘涙
月明りのなか
夜が滲みうまれた
夜光虫がきらめき漂う波間に
からだをあずける
ひとりきりの旅の途中
置いてきた記憶が
よみがえる
こころがふるえ
白い花びらがいちまい落ちる
舟こぐ音にまどろみながら
くり返し思いだすのは
懐かしい日々
あの紺碧の海が呼んでいる
蒼くふちどる瞳をうるませ
ながれ落ちるしずくを
てのひらですくう
満ちてゆく潮にもどされ
もう帰れないふるさと
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