最終連から始まる詩片のような残音/
長崎哲也
最終連は
とうに終わっていても
締められた言葉は
いっこうに完結するようすもなくて
視線は
空を漂う余韻の行き先を
見つめている
その時
一羽の冬燕が目の前を横切るも
地面に落ちた綿雪のように
あっけなく消えて
残雪のような思いは
残るでもなく、溶けるでもなく
いっそ何もかもなくなってしまえと
短気を起こしてみても
耳には
余韻がもたらした残音がこだましている
消えない音は
私にその衝動を言葉にしろと
囁く
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