綾取り糸/星丘涙
赤い綾取り糸をからませて
星座を並べる
天から降りてくる調べに聞き入る
夜は深く清らかだ
心が天空に舞い上がり
気持ちがいい
澄んだ空気と青い闇が
躰に染み込み
私を深夜の切り立つ淵に追いやる
灯りは忘れ去られ
?燭が街を照らしている
遠い思い出を
ふいに思い出しては
懐かしさに心が締め付けられる
かたい桜の蕾に
時の流れを諭され
神の御加護に感謝をささげる
貴女は淡々と日々をやり過ごし
私は少し途方に暮れている
南風が吹けば雨が降り出し
ゆっくりとまた春を歩ける予感に
心踊らされる
故郷の友は忙しく過ごしているようだ
お互い色々とあったが
最近は滅多に会うこともなくなった
もう夜も深い
もういちど綾取り糸をほどき
新しい夢のかけらに触れたくなった
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