綾取り糸/星丘涙
 
赤い綾取り糸をからませて
星座を並べる

天から降りてくる調べに聞き入る
夜は深く清らかだ

心が天空に舞い上がり
気持ちがいい

澄んだ空気と青い闇が
躰に染み込み

私を深夜の切り立つ淵に追いやる
灯りは忘れ去られ
?燭が街を照らしている

遠い思い出を
ふいに思い出しては
懐かしさに心が締め付けられる

かたい桜の蕾に
時の流れを諭され
神の御加護に感謝をささげる

貴女は淡々と日々をやり過ごし
私は少し途方に暮れている

南風が吹けば雨が降り出し
ゆっくりとまた春を歩ける予感に
心踊らされる

故郷の友は忙しく過ごしているようだ
お互い色々とあったが
最近は滅多に会うこともなくなった

もう夜も深い
もういちど綾取り糸をほどき
新しい夢のかけらに触れたくなった

戻る   Point(2)