嫌悪/坂本瞳子
 
うんざりしてしまうのは
土地が違うからだろう

興醒めしてしまうのは
違う空を見ているから

空気の色も
風の匂いも
なにもかもが違う

子供の頃に見た
妖精や妖怪とは違う
そんなものは遠の昔に
見えなくなったけれど

求めているものと
求められているもの
もう交わらない心
すれ違う時刻
そして空間

涙が込み上げてくることすらない

冷たい心
優しさの欠片も持ち合わせていない
そんな自分が
憎たらしい
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