嘯き鳥の花の香/這 いずる
バックライトに照らされた
木から落ちる花の香りが
人の鼻をくすぐりくしゃみをさせる
排ガスに巻かれた花の香は
それ自体もいつか白く濁った
うつくしい鉱石になっていく
そんなことは実感できずに
日々を送る人
かなしいねって嘯いた
鳥が人より早く死んで
看取られないように空高く
太陽に焼かれるまで飛んでいって
息を苦しくして
ぽとりと落ちる
それを生だと人は言う
それが死だと人は言う
鳥は
空高くまで去ってしまい
かなしいねって次の鳥が嘯いて
その代わりに大空ゆっくりと回り見て
飛んでどこかまで行ける
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