ほむら あゆみ/木立 悟
光をまぶした冬の家から
粒の拍手が夜へ昇る
色 かたまり 分かれ 分かれて
まぶたの拍手 かたちまばゆく
鉄や真鍮をすぎる光
追い越し追い越し 消える光
水を追い抜く青と緑
波の軌跡をなぞる光
傘の会話を飛びゆく鏡
煙る景色を映す鏡
氷の牙 音の柱
冬を空を貫く鏡
葉脈の地図が
空を回り 水を集める
白く焼かれた森のかたち
雪山より高く立ち尽くす
油 くちびる
湿った紙
病のように生えつづく羽
触れようとする手は燃え上がる
人のかたちの菓子を持ち
何処かへ帰る影の群れ
後ろから来る光も見ずに
ゆうるりとゆうるりと進みゆく
星は自身が
生きものだとは知らない生きもの
照らしながら 照らされながら
誰も居ない径を歩む
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