「今」/
 
色が見える
肌触りを感じる
匂いと、
匂いとみたいに立ち上る情感

一瞬が光の速さで
私たちが気がつく時にはもうすでに
少し過去だ
今とは、悲しいかな少し過去だ


詩のようなものを書く時
私達はその
速さに挑戦している
気がする


あの時確かに駆け抜けていった
ストロボみたいな
しかし気配もなくひどく静かな


もう
誰もが忘れてしまったかような
はじめから
何もなかったかのような
あの「今」を捕まえたい


この膨大な影の中から
あの「今」を捕まえたい


そして証明したいんだと思う
のっぺりした過去に埋もれがちな毎日に


私達が本当に生きているフィールドは
ひたすら五感が追いつかないほどの速度で
直視できないほどの輝度を持つ輝きの


連続描写であるということを




戻る   Point(2)