行先/寒雪
 
どこまでいっても
暗い星空の下
しゃくれた岩肌の
綺麗事で冷え切った
体温に足を投げ出して
ただ
月がかけていく様を
薄ぼんやりとした瞳で
飽きもせずに
見つめている


これからどこに行こう
手元には
表紙がすっかり
指の摩擦で
禿げ上がってしまった
どんよりとした日記が
開いてみても
書かれた文字の
若々しさ
瑞々しさ
そいつらが
ぼくに銃を突き付けて
太陽の在り処に
追い詰めようとして
黒光り


両手を
差し上げたまま
それでもぼくは
抗って
その場に足から根を
地中深く張り巡らせて
動かないでいようと
頑張る
昨日の太陽が
今日の詐欺師でない
それを見届けるまでは
ぼくは
どこにも行かない


昨日のぼくは
今日のぼくに
落とし穴を掘って
笑っているのに
違いないのさ


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