島の空に浮かんでいた薄白い月/星丘涙
 
るかのう」と
何時も口癖のように言っていた
淋しそうであったが、それよりも島の独特の淋しさというか
私が生まれついて持っていた淋しさのほうが、遥かに勝っていたように気がする

その夜も淋しい夜であった
そしてそんな夜に限って薄白い月を眺めて
そのまわりで不思議に踊り逝く雲を眺めていた

爺ちゃんは、私が高校生の時に肝臓癌で逝ってしまった
その死は悲しく淋しいものだった

あの島の空に浮かんでいた薄白い月を今では見上げることはできないが
あの頃の淋しさは、今でも薄白い月を見るたびに思い出すのである

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