土曜日の銀座を/番田
私は知り合いの画廊のオーナーに
そのわけを聞かされた 以前は 予定が立たないほどだった画廊
彼と会うのはもう十年ぶりぐらいだ
一年以上先になる 展示の予約のされていた
そんな時代もあった まだ 活気があった あの頃
老舗の画廊を訪れた 私は愕然としたのだった
作品を展示してはいたが 彼の経営する画廊にしては
私には明らかに使いまわしの展示のなされていた内容
それから銀座のギャラリー街の衰退を 彼は何度も口にしたのだった
久しぶりに 私は そんな路地を散歩していた
私は彼のそんな姿を見たのだった
あの頃のきらびやかな展示されていたスペースで仕事をしていた彼
彼は展示スペースに机を出していたのだった
使い古されて黒ずんだ電話と
帳簿を置いた彼の酒でなされたであろう赤ら顔
2、3年後には もう やめるという
もうそんな時代のようではないのだと聞かされた
色々な人間がこの場所を出入りしていたあの頃
それから 君の会社は安定しているかと 彼は口にしたのだった
あそこは もう だめだろうと虚ろな目で言いながら
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